第6回 ネットでマネーセミナー 「意外と身近な相続トラブルの火種」

先日、こんなご相談がありました。

ご相続が発生した三姉妹の末っ子からのご相談でした。
実家で一人暮らしのお父様がお亡くなりになられたとの事です。

相続財産の内訳は、

  1. 自宅
  2. 銀行預金

のみ。遺言書なんて無し!
典型的な一般家庭でよくある財産構成です。

さて、ご相談内容は、、、、、
「自宅は私がリフォームして住むつもりなのですが、問題はありますか?」 というものでした。

「それは私が決める事では無いんだけど~」 と言いたかったのですが、順番に整理してお話を伺いました。(汗)

まず、相続税がかかるのかどうかの判断です。

法定相続人が3人ですので、相続財産からの基礎控除が 3,000万円 +(法定相続人3人 × 600万円)で4,800万円となります。
つまり、相続財産評価額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。

次に、預貯金の額についてのヒアリング。

仮に3,000万円だったとします。
(証券会社に預けている上場株式など有価証券の場合は評価額の算出基準が変わります。お預けの証券会社で評価額を確定してもらってくださいね。)

ということは、自宅の評価額が問題となります。

不動産の相続税評価額は、非常に複雑で評価を下げるいろいろな方法があります。
例えば代表的なものとして「小規模宅地等の特例制度」があります。
今回のように、被相続人(亡くなられた方)が住んでいた自宅を相続人(別居親族)の誰かが継続して所有する(居住は要件では無い)場合は、100坪迄の土地の場合評価を80%減額できます。
つまり相続税評価額が仮に5,000万円だった場合、その評価額はなんと1,000万円になります。
これならば先ほどの預貯金残高3,000万円と合わせても合計4,000万円ですので、相続税はかからない!めでたしめでたし!となるのですが、実は「小規模宅地等の特例制度」の適用条件には別居の親族が取得する場合4つの条件があり、全てを満たす必要があるのです。
その一つが「相続開始前3年以内に日本国内にある取得者または取得者の配偶者、3親等以内の親族、特別の関係がある一定の法人が所有の家屋に居住したことがない」ことといわれています。
つまり、自分で持ち家がないことが条件なんですね。

今回の相談者の場合、賃貸のアパートのお住まいでしたので条件には当てはまります。ただし、残りの姉妹がご相談者の方(末っ子)の名義に登記変更することに同意すれば、、、、ですが、、、

49日も過ぎ、ひと段落した頃に真ん中のお姉さんは知り合いの不動産屋に頼んで、実家の値踏みをしたそうです。
ご相談を頂いたときに、近隣の同条件の物件がいくらぐらいで取引されているかを確認させていただいたのですが、およそ1.5倍くらいでした!
長女は自宅を持っていましたので、特例適用対象外!
はてさて、このような相談事例の場合、優先すべきはなんなんでしょうか?

  • 相続税削減対策が最優先?
  • お父さんが住んでいた思い出の実家を残したいという末っ子の思い?
  • みんなに平等に資産分けするために費用や税金がかかっても自宅を処分し、均等に3分割?

いくつかの事例をお話しして、何を優先し誰が何を引き継ぐのかをしっかりと話し合っていただくようにお伝えさせていただきました。
この後、どうなったかはまだ連絡がありません。申告期限の10ヶ月目はそろそろ目の前に迫ってきています。(汗)

実は私たちの身の回りにはこんなキナ臭いトラブルの火種が、あちらこちらにくすぶっているんです。
残す人は「後のことは頼んだぞ!」という思いかもしれませんが、現代社会ではこれこそが火種となります。
後に任せるのではなく、残す人が分け方を決めておいてあげる。
そのためにも、準備が必要です。

自分の親、自分、配偶者、それぞれにご相続が発生してしまったときの「妄想シミュレーション」を、是非ご家族で「笑いながら」話してあってみてくださいね。(笑)
きっと明るい未来が見えると思いますよ!

今日はここまで。

ファイナンシャル・プランナー 芹澤倫明